インカム3強時代。

インカム

「インカム、何を買えばいいですか?」
この質問に対する私の答えは、数年前まではシンプルだった。「予算があるならB+COM、海外志向ならSENA」で終わっていたからだ。

しかし2025年現在、その勢力図は劇的に変化している。圧倒的なシェアを維持する王道「B+COM」、メッシュ通信のパイオニア「SENA」、そして高機能かつ低価格で市場を席巻する新興勢力「ASMAX」。まさに群雄割拠の時代だ。Web制作の現場でツールを選定するときと同じく、ここでは「自分の運用スタイルに合致するスペック」を見極める冷静な視点が必要になる。今回はこの3強を比較し、あなたにとっての最適解を導き出す。

音質・操作性の「B+COM」、メッシュの「SENA」、コスパの「ASMAX」

まずは各メーカーを代表する「選ぶべきモデル」の特徴を整理しよう。

1. 音質の王道:SYGN HOUSE「B+COM ONE」

国内シェアNo.1の座は伊達ではない。最大の特徴は、オーディオ機器として通用するレベルの「高音質」だ。大出力D級アンプと高磁力スピーカーの組み合わせは、走行ノイズの中でも音楽のベースラインやナビの音声をクリアに届けてくれる。操作系も直感的で、マニュアルを読まなくてもなんとなく使えるUI設計は、さすが日本メーカーの仕事だと唸らされる。

2. メッシュの民主化:SENA「J30」

「メッシュ通信は高い」という常識を覆したのが、日本限定モデルの「J30」だ。従来のBluetooth接続ではなく、網の目のように繋がる「メッシュ通信」に特化することで、実売2万円以下という衝撃的なプライスを実現している。SENAのハイエンド機(50Sや30K)を持つ仲間と、ボタン一つで瞬時に繋がれる。機能はシンプルだが、「繋がる」という一点において最強のサブ機とも言える。

3. 黒船の襲来:ASMAX「F1 Pro」

ここ最近、ガジェット好きの間で話題なのがASMAXだ。「F1 Pro」はメッシュ通信を搭載しながら3万円台前半という高コスパを実現。特筆すべきはハードウェアの完成度だ。脱着は「マグネットマウント」で、近づけるだけでパチっと吸着し、外すのも一瞬。休憩のたびにケーブルを抜き差しするストレスから解放される。さらに「急速充電」に対応しており、わずか10分の充電で3時間の通話が可能。ランチタイムの充電で一日持たせられる運用性の高さは、ロングツーリング派には刺さるスペックだ。

ソロメインかグループか?ツーリングスタイル別推奨モデル

機能差は理解できたとして、ではどれを選ぶべきか。ここには明確な「鉄則」がある。

「周りと同じものを買え」

これに尽きる。
どれだけASMAXが高性能でも、ツーリング仲間全員がB+COMを使っているなら、あなたもB+COMを買うべきだ。他社間接続(ユニバーサルペアリング)も可能だが、接続手順が複雑だったり、接続が不安定になったりするリスクがある。「出発前に接続でモタついて30分待たせる」というのは、ギルティな行為だ。

B+COM推奨

周囲にB+COMユーザーが多い、またはソロツーリングで音楽を高音質で楽しみたい人。

SENA J30推奨

すでにSENAのメッシュモデルを使っているグループに参加する人。ソロ機能は削ぎ落とし、集団走行に特化する割り切りができる人。

ASMAX F1 Pro推奨

特定のグループに属していない、あるいは自分たちが発起人となって新しいグループを作る人。メッシュの利便性と最新ガジェットの多機能さを、適正価格で手に入れたい層に最適だ。

アプリ連携とアップデート性で見る「ガジェットとしての寿命」

最後に「ガジェットとしての寿命」について触れておく。
電子機器は買った瞬間から陳腐化が始まるが、それを食い止めるのが「ファームウェアアップデート」だ。

ここでもASMAXは優秀だ。スマホアプリと連携し、OTA(Over-The-Air)で無線アップデートができる。PCに繋ぐ必要がなく、ツーリング先のSAで最新機能をインストールすることすら可能だ。B+COMやSENAもアプリ連携を強化しているが、ASMAXのアプリUIは現代的で、インカム設定の視認性が非常に高い。

インカムは一度買えば数年は使う「資産」だ。ハードウェアの耐久性だけでなく、ソフトウェアが進化し続けるモデルを選ぶことが、結果として長く使える賢い買い物となるだろう。